小説の公募原稿は、応募先が指定するフォーマットに合わせて作ります。公式のテンプレートがあっても、ダウンロードして開けば準備完了、とは限りません。
私がMacで群像新人文学賞のホームページからダウンロードした応募用ファイルを、そのままWordで開いたときは、40字×36行になっていませんでした。一方、LibreOfficeでは40字×36行を正確に確認でき、縦書きと日本語UIも使えました。
Windowsへ移行したあとは、WPS Office 2を使う方針です。どのソフトを使う場合も、応募先の規定を設定に反映し、保存した原稿でもそのとおりに組めているかを確認することが必要です。
ここでは40字×36行を例に、設定する項目と提出前の確認方法をまとめます。
応募する新人賞のフォーマットを確認する
最初に読むのは、応募する新人賞の、その回の応募要項です。文字数と行数は賞ごとに指定が異なるため、この記事の40字×36行をすべての公募に使うわけではありません。
原稿を整える前に、次の項目を確認します。
- 用紙サイズと用紙の向き
- 縦書き・横書き
- 1行の文字数と1ページの行数
- 作品の分量と、その数え方
- ページ番号や表紙に必要な項目
- 提出するファイル形式と提出方法
私が群像新人文学賞の応募要項を確認した際は、A4・縦書き・1行40字×36行、分量は400字詰原稿用紙換算で70〜250枚という指定でした。
ここで、A4原稿の実際のページ数と、400字詰原稿用紙に換算した枚数は別です。40字×36行で組んだ原稿が70〜250ページ必要だという意味ではありません。換算方法や記載のしかたも、応募先の要項に従います。
公式テンプレートが用意されている場合は、それを出発点にできます。ただし、開いたあとの文字数・行数と、保存後のファイルまで確認します。
LibreOfficeで文字数と行数を設定する
LibreOffice Writerでは、ページスタイルの「行数と文字数」で設定を確認します。以下の設定箇所は、LibreOfficeの公式ヘルプにも案内されています。
- メニューの「書式」から「ページスタイル」を開きます。
- 「行数と文字数」タブを開き、行と文字の両方を指定するグリッドを選びます。
- 40字×36行の指定なら、「行単位の文字数」を40、「ページ単位の行数」を36にします。
- 用紙サイズと書字方向も応募要項に合わせ、本文のレイアウトを確認します。
行数と文字数の設定はアジア言語向けの機能です。表示される名称や画面構成は、使っているバージョンやUIによって異なる場合があります。
文字数・行数を指定することと、原稿用紙のマス目を印刷することは別です。罫線を表示・印刷するかどうかも確認し、応募先が求める体裁に合わせます。
Macで群像の原稿を扱った際、私はLibreOfficeで40字×36行を確認できました。設定を変更したあとも、本文の行末とページの区切りまで見ておくと、設定欄の数字だけで確認を終えずに済みます。
WPS Office 2で文字数と行数を設定する
WPS Office 2のWriterでは、「ページ設定」の「ドキュメントグリッド」が確認箇所です。キングソフトの公式サポートでは、次の操作が案内されています。
- 「レイアウト」タブから「設定」→「ページ設定」を開きます。
- 「ドキュメントグリッド」タブを開きます。
- 「グリッドの設定」で「行グリッド線と文字グリッド線の設定」を選びます。
- 応募先が指定する文字数と行数を入力し、「OK」で適用します。40字×36行なら、文字数40、行数36です。
用紙サイズや縦書き・横書きも、文字数・行数とは別に確認します。テンプレートを使う場合も、開いた文書の設定を見てから本文を整えます。
この手順は公式サポートに基づく設定方法です。私のWindowsでの原稿作成にはWPS Office 2を使う予定で、提出時には次の方法で出力を確認します。
設定どおりになっているか、本文で確かめる
私がWordで困ったのは、群像の公式ファイルをそのまま開いても、指定の40字×36行になっていなかったことです。公式テンプレートを使っていることだけでは、提出する原稿のレイアウトを確認したことにはなりません。
まず、本文が続く行で1行の文字数を数え、本文が埋まっているページで行数を確認します。段落末の短い行や最終ページは、設定の上限を確かめる場所には向きません。縦書きでは、上から下への文字数と、右から左へ並ぶ行の数を見ます。
数えにくければ、提出原稿とは別の確認用ファイルで、全角文字40字のまとまりを改行せずに繰り返し入力し、どこで折り返すかを確かめる方法もあります。句読点や括弧を含まない文字列なら、基本の折り返し位置を見やすくできます。確認用の文字列は、提出原稿へ残さないようにします。
続いて、実際の本文で句読点や括弧が行の境界に来る箇所を見ます。禁則による行末の処理も含めて確認するため、単純な文字列で40字に折り返したことだけで完了にはしません。ページの先頭・末尾や、会話文が続く箇所も見て、意図しない改行や空白ページがないか確かめます。
最後は、提出するファイルを開き直す
編集画面で整えたあと、応募要項で指定された形式に保存し、そのファイルを開き直します。
確認するのは、文字数×行数、禁則と改行位置、ページの区切り、ページ番号、表紙、原稿全体のページ数です。作品の分量については、実際のページ数とは分けて、指定された換算枚数も確認します。
PDFを作った場合は、そのPDFも開いて確認します。ただし、PDFで見た目が整っていても、提出する別形式のファイルが同じ状態とは限りません。提出形式がWordファイルなら、最後に確認する対象もそのWordファイルです。
LibreOfficeでもWPS Office 2でも、設定欄に数字を入れるところと、提出できる原稿になったことを確かめるところまでを一組にします。応募先のフォーマットに合わせ、実際に送るファイルで確認する。 原稿を整えるときの基準はそこに置いています。